2日目のスプリント 大城竜之・丹沢秀樹ペアが先行する 僅差の勝負。大城組が僅かな差で逃げ切った 手を挙げてアピールする葭原滋男・水澤耕一 組。このあたりは貫禄の差か |
全プロ選手権エキジビジョン参戦記
レポート:丹沢秀樹
5/10,11に青森競輪場で行われる全プロ選手権にエキジビジョンで障害者5名が1kmタイムトライアルをすることになった。障害者の選手がプロスポーツ選手と同じ舞台で競技をするということは、これまでほとんどなかったことだと思われ、葭原さん(シドニーパラリン金メダリスト。水澤さんとペアを組む)や障害者協会の栗原さんは以前からかなり気合が入っていた。しかし私は4/26〜29の修善寺合宿がオーバーワークだったようで、風邪で1週間ほど寝込んでしまっていた。まだ治りきっておらず、不安だった。
レース前日金曜日。学校でのゼミを終え、夕刻羽田空港へ。国内線で飛行機に乗るのは始めてで、浜松町駅でチェックインできることにちょっと驚く。羽田空港で夕食を食べ、飛行機へ。青森まで一時間で着いてしまう。空港までの移動時間の方が長いくらいだ。タクシーで青森ワシントンホテルへ。ここで、先に現地入りしていた葭原さん、大城君と合流。大城君も風邪をひいているのは聞いていたが、声を聞くと、自分よりも悪そうだった。20時半ころだったが、2人は夕飯をまだ食べていなかったので外へ繰り出す。定食屋ですきやきうどんを食べ、ホテルへ戻る。競輪選手の人たちもワシントンホテルに泊まっている。 レース一日目。プロの練習時間の後に、障害者選手用に練習時間が設けられる。最初は恐れ多く、恐る恐る周回を始める。グリップがよく効きそうなねばっこいバンクだった。始めは「バンク軽いかな」、と思ったが、「バンク重い」というのが大方のみんなの意見だった。何しろ久しぶりに自転車に乗るのもので…。 障害者選手用の控え室は、「うとう君ホール」と呼ばれる広い部屋で、競輪選手のマネキン人形や、大型液晶テレビ、机椅子、ソファーなどがおいてある。今回の世話役の茂本さん、保古さんに挨拶。ここで、ローラーに乗ったり、ストレッチをしたり、テレビでプロの競技を見たりしながら時間をすごす。普段の大会だと待ち時間は外で過ごすので、なんとなく勝手が違う。応援に青森在住のナオちゃんが来てくれる。ありがとう。 そして遂に出番。前田さん(脳性麻痺)、高橋さん(切断)、佐久間さん(切断)、葭原・水澤ペアそして前川さんとともに大城・丹沢ペアもバンクの中へ。テレビカメラも来ており、報道陣も結構いる。バンク内のオーロラビジョンに第一走者の前田さんと名前が写っている。アナウンスで選手の障害などについて紹介すると聞いていたが、アナウンスはなく、シーンとした空気の中、障害者の競技が始まる。前田さんが走り終わると、観客から拍手が。よかった、みんなわかってくれているようだ。高橋さん、佐久間さんが走り終え、僕らの番。深呼吸をしながらスタート位置へ。今季初のタンデムでのレース。昨季よりも手応えを感じており、ベスト更新、打倒葭原ペアと行きたいところだ。 スタート。始めの数歩、大城君の頭の押し付けが気になったが、あとは自分のペースですいすい踏めた。トップスピードに乗ったなと思ったところでシッティングへ。すぐにDHバーを持つ。まだバックストレート、3コーナーより結構手前だった。その後、シッティングでお尻の位置が普段よりもかなり前乗りになってしまい、どんどんお尻が前に来るので、走りながら困っていた。ジャンを迎えるころにはもうサドルの先端にお尻が刺さっている状態。いけないとわかっていながら、最終2センターでお尻の居場所がなくなって遂に座りなおした。そしてゴール。何だかあっという間に終わってしまった。大きな拍手が沸き起こっている。タイムは出たんだろうか?1分7秒5。うーん。5秒台、6秒台を出そうと息巻いていたので、残念。 すぐに葭原ペアが走り出す。スピードが乗っているように見える。タイム1分7秒4。負けた!悔しい。あとは頭をうなだれて退場するしかなかった。水澤さんのように観客にパフォーマンスをする気にはなれなかった。そして、テレビカメラも、新聞記者も同時に持っていかれた。後からリザルトを見ると、0.06秒差だったようだ。競技が終わってから、大城君には「もうちょっと立ちこぎしたかった」水澤さんには「おとなしく座っちゃったな」。どうやらスピードを上げ足りなかったようだ。前川さん曰く、「後半たれなかったけど、最初の数歩が遅かった。1周目のタイムが水澤たちの方が1秒かそれ以上速かった」。やはりスタンディングが課題だ。また結構早くバンク内に呼ばれたため、2ペアともアップが少々足りなかった感があった。ちなみにプロの1kmTT優勝は荒井崇博選手の1分4秒台だった。 この後は、去年の世界選に同行した江島康光選手を応援したり、全プロの雰囲気を楽しんだ。夜はレセプション。江島選手や、長塚選手ら何人かの競輪選手と写真をとる。肉がうまかった。早々にレセプションは終わり、その後みんなでラーメン屋、そしてナオちゃんがバイトしている青森ブルーワリーへ。ホテルには吉岡選手のおっかけと思しきギャルが何人か来ていた。 2日目。読売新聞に、僕らの1kmTTの写真が乗っていた。そして、大会プログラムの表紙は、昨日の葭原水澤ペアの1kmTTの写真になっていた。なかなか反響があったようだ。今日は稲村選手と斎藤選手に敬意を表して、昼休み中にタンデムスプリントを行うそうだ。東大自転車部時代に何回かタンデムスプリントをやったが、本当に久しぶりのタンデムスプリント。初めから、自分たちが先行すると決めていた。そのときはあまり気にならなかったが、タンデムなのに、2周しかやらない。 大城丹沢ペアが白、インスタート。葭原水澤ペアが赤、アウトスタート。バンクの上で1周目を回り、ジャン。ホームストレートでスピードを上げながらインの方に進路を変える。3コーナーさしかかり、1センター手前で下から目いっぱいで踏んでいく。バックストレート、そして、3コーナー、4コーナー。コーナーでいつもならもっと自転車が伸びるはずが、踏めど踏めどタンデムがよれるばかりでスピードが加速しない。250バンクの走り方に慣れてしまったのか。やばい、と思いつつそのままホームストレート。ホームストレート直線が長い。そして、ゴール。ギリギリ1/2輪差くらいで差されたと思った。 水澤さんがガッツポーズをして、観客に手を振っている。またしてもやられた…うな垂れていたら、自転車を降りるとなぜかテレビカメラは自分たちを写している。負けたのに、間違えたのかな、と思いながら、「アテネパラリンピック目指してがんばります」と一言。その後、役員の人に「ナイス逃げ切り」といわれ、実は逃げ切っていたことを知る。水澤さんからは、「観客が見てて驚くようなスピードを出すために、下からじゃなくって、上から駆けないと。お前たちが行かないなら、俺が行くつもりだった」と。先着することで頭がいっぱいで、そこまで考えてませんでした。反省。 こうして青森の陣は終わった。最後に、前川さん、メカニックと長距離運転ありがとうございました。また高村さんウェアありがとうございました。次こそ1kmで勝てるようにがんばります。 |